2011年2月5日土曜日

虻川渓谷

久しぶりに気合いを入れて冬の山へ。と言っても昨日は立春。意外にも厳寒を思わせる凍り付いた水辺はここ2日ほどの寒さのゆるみで溶け出してしまった。中央アルプスの南駒あたりの積雪も一挙に減り黒い岩肌が多くなってしまった。まぁ、このままこの冬が終わるとは思えないのでまた冬将軍はやってくるのだろうが。
砂防ダムの上流ではおそらく全面結氷したであろう湖面の氷は溶け出し、この渓谷特有のエメラルドグリーンの水が川底を現し、氷の下で元気に冬を越しつつある魚たちが泳いでいる。
撮影中対岸の山で大きな音が立ち、どこかで土木工事をしているのだろうと思っていたが、だんだんとその音は自分に近づき気がつけば湖面にはった氷の割れる音であった。遠くでは単純に音であったのが、近くでは氷同士が押し合いきしむ音も伴ってくる。ネイチャーパワー、自然の力と情景、生み出す力は何とも力に満ちている。

さらに上流に登ると、北欧フィヨルド氷河の河口にも見えるゴルジュ(この規模をゴルジュと呼ぶのか?)が目に飛び込んできた。勿論表面は氷、さらにその上に積雪を載せているのだがその下をくぐり抜けて流れ出る水は一段と音を大きく響かせ淵に流れ出てくる。
夏であれば落差のある良いせせらぎなのであろうが、今はその姿をかくして水を下流へ追いやっている。標高を抑える事を忘れてしまったが、そう高い場所ではないがおそらく日照時間と風の向きによって気温が上がらないのだろう。気温は-2℃、体感は風を伴いもう少し寒く感じ当然手はかじかんでしまった。

さらに上流。渓谷の両岸の山が高いので日の当たる場所は限られる。これだけ見ると春先の雪融けを思わせ、水車でも有れば完全に春なのだがそうはいかない。積雪は有るものの水位がまだ高いときから凍り出したと思われる水面はそこそこ厚さを保ち、なおかつその表面は「ナメ」ってテカテカ、この場所の厳しさを感じる。水は清く少し深くなると緑を帯びていっそう綺麗さを訴えてくる。

2/7 NHK 撮るしん 放送。1/40 F16 ISO200 450mm
さて、今日望んだ一番の奥。この奥へ登ればキャンプ場、分岐を経て新九郎の滝。とうてい雪道、いや氷道を30分以上歩いて滝をおさめる気にはならない。川沿いに走る道路からは死角だが、川辺に降りて歩けばけっこうこの様な情景が有る。氷瀑の出来方はおおよそつららが出来てそれがその表面水でだんだんと覆われて氷の塊となるが、この川の自然石を覆う綺麗な氷達も出来方は同じようだ。一瞬花嫁のウエディングドレスを思わせるような丸みを帯びたその形は冷たさの厳しさよりはなぜかしら清楚な、それでいて角のない柔らかさも感じさせる。

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